曲線と曲面の微分幾何の斬新な入門書
この本を手にされる方の多くは、小林 昭七著『曲線と曲面の微分幾何』を既に読まれた事があるだろう。小林先生の本と同じ精神で書かれた本書は、曲線と曲面という身近な幾何学的対象は奥が深く、今日でも十分魅力ある研究対象であることを教えてくれる。ここで本書の魅力の由来について述べてみたい。先ず、類似の書物で殆ど触れられていない興味深い話題が解説されているという事実を挙げたい。「平面閉曲線の正則ホモトピー同値性を回転数で判定する」ホイットニーの定理や単純閉曲線の4頂点定理の証明などがこの例である。 次に、「証明が複雑で難しい」という理由で、通常の入門書では証明が省略されている定理に対し、簡明な証明が与えられている事を挙げたい。曲面のガウス曲率を第一基本量で表現するガウスの表現公式の証明や2次元リーマン多様体上の局所等温座標系の存在定理の証明などは、この好例である。特に、ポアンカレの補題を巧妙に用いる後者の証明は、「素晴らしい」の一言に尽きる。 最後に、「平均曲率一定曲面論」のステキな話題の存在を挙げたい。本書では、アンデュロイドやノドイドなどの「デロネイ曲面」の平均曲率が一定であることが、一般論からの帰結ではなく、直接計算で求められている。本文では計算方法の概略と結果のみ記してあるが、このハードな計算を最後まで遂行されることをお勧めしたい。剱持著『曲面論講義』に述べられている平均曲率一定回転面の一般論とは異なる、本書のアプローチもまた非常に味わい深いものであることを確信されるだろう。 本書は、この分野の標準テキストとして定評がある小林先生の本と互いに補完する内容を多く含み、どのレベルの読者にも強くおすすめできると思う。
裳華房
曲線と曲面の微分幾何 幾何学〈3〉微分形式 (大学数学の入門) トポロジーへの誘い―多様体と次元をめぐって (幾何学をみる) 集合・位相入門 代数学〈1〉群と環 (大学数学の入門)
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